「戦争責任」、「戦後責任」
そして「未来責任」を果たすには
~事実から学ぶ「勇気」と「謙虚さ」を~
大﨑功雄
(北海道教育大学名誉教授)
日中友好協会創立70周年おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。一口に70年と言っても、幾多の困難を乗り越えて今に至っていると思います。
筆者が貴協会に直接関わるようになったのは中国からの留学生を指導するようになってからですが、そのきっかけは帰国した留学生の結婚式に出席するために訪中する機会を得たことにあります。仕事柄ドイツなど欧米に行く機会は度々ありましたが、中国訪問は初めてでした。筆者は戦前日本の「加害責任」を自覚し、その事実を十分知ること無しには訪中できないと考えていましたから、訪問先(重慶市)について調べました。世界三大空爆の一つ「重慶大爆撃」について詳しく知るため、その維持会員である東京大空襲・戦災資料センターの協力を得ました。そして貴協会の門を叩いた次第です。
重慶で最初に行ったのは、三峡博物館の「空爆資料展」見学と旧日本軍による空爆跡地をお参りし犠牲者に手を合わせることでした。その後、件の留学生が勤務する大学の日本語学科の学生さんたちと親しく話す機会を得ましたが、筆者が空爆跡地をお参りしたことを話すと彼らは異口同音に「感心した」、「あなたのような日本人に初めて会った」と話しかけてくれました。そして大学構内を丁寧に案内してくれ、是非日本に行きたいと抱負を語ってくれました。このことを通じて筆者は改めて過去に真摯に向き合い、史実を徹底的に解明することの大切さを実感しました。”南京大虐殺などなかった“”三光作戦などなかった”という言説が流布されていますからなおさらです。
「戦争責任」をどう考えるか、筆者は直接戦争に関わった世代の「戦争責任」と戦後世代の「戦争責任」そして未来世代に対して平和な社会を残していく「未来責任」を区別しながら、そのいずれにも真摯に向き合わなければならないと考えています。そのためには、史実を掘り起こし学んでいく「勇気」と「謙虚さ」が格別に重要だと考えています。終戦記念日を迎え、改めてその意を強くしているところです。
貴協会の果たす役割は今後ますます大きくなると考えます。どうぞ、これから80周年さらに100周年に向けて大きく発展されますよう祈念いたします。