1月号に掲載した劉連仁裁判資料集出版に向けたオンラインシンポジウムにおける鴫谷節夫道連会長の発言をもとに、新聞用に加筆修正して数回に分けて掲載します。
劉連仁さんの思い出(1)
【天網恢恢、疎而不失】
劉連仁さんのことを想う時、いつも「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉が浮かんで来ます。
日本軍国主義政府が行った膨大な悪業の中でも、日本本土を舞台に展開された「中国人強制連行・強制労働・虐殺事件」はその最たるものです。
日中友好協会北海道支部連合会は1966年から中国人殉難者慰霊祭を挙行し、その基礎資料となる「知っていますか・北海道での中国人強制連行・全道五十八事業場殉難の記録」を1989年5月に刊行しました。この年は日中友好協会全国大会が北海道で初めて開催され(第38回 定山渓・5月)、中国人殉難者全道慰霊祭は24回(6月・後志仁木町)を数えました。
この資料によって明らかになった虐殺の実態は目を覆うものです。わずか2年足らずの間に北海道での死者3047名、死亡率18・7%、40%を超える事業場が2か所、30%を超えるものが4か所、まさに虐殺・万人坑です。
劉連仁さんの生還は、強制連行から考えると奇蹟としか言いようがないものだと思っています。人知を越えた「天の意志」❘悪行の生き証人を日本人のために残してくれた「天の配慮」です。少し神がかっていると思いますが私はこう考えると勇気が湧いてきます。 (つづく)