2016年9月7日水曜日

 北区革新懇学習講演会  「中国の政治を考える」  慶応大学東アジア研究所所長高橋伸夫教授

9月5日、北区民センターにおいて、「中国の政治を考える」と題して、慶応大学法学部教授・同大学東アジア研究所所長の高橋伸夫氏を招き、学習講演会を開き60人が参加しました。主催は札幌市北区革新懇だが、後援に日中友好協会も加わわりました。
 高橋教授は、4つの問題点から述べられました。
 先ず、「中国の政治体制の起源」はどこから来るのか。中国伝統のエリート主義である賢人集団が文化水準の低い民を治めるという考え方があり、昔は科挙に合格した官僚たちが治め、現在はエリート大学卒業者が治めるようになった。初期の共産党員は教育を受けていないものや小学校卒業者が約9割を占めていたが、現在は約1割に減少している。また、急速な近代化を目指した国民党の開発主義にも似て、先進国に早く追いつくため権力の集中を行っている。また、旧ソ連の政治体制の「国家化された党」と同じく、国家と共産党が一体化され、両者の境界線が不明瞭である。共産党の決定が政府の政策の決定となっており、「以党治国」である。
 次に「政治体制を支えるイデオロギー」について。当然、マルクス主義もあるが、国家を崇拝するナショナリズム・強国への夢とは矛盾しており、また、中国の伝統的な価値観である儒教とも矛盾してしまう。
 次に「中国の政治の特徴と動態」について。
 中国の政策決定はどの様に決められているのかよく分からず、権力の下降過程に大きな比重がおかれている。政策を批判すべきマスコミや労働組合、全人代も支持するだけになっている。そのため、人々のネガティブフィードバックが効きにくく、いわゆる「中国の振り子」といわれる様に、政策が極端から極端に走る傾向がある。この政治システムでは、人々の要求が単純であれば機能しやすいが、多様化していくと無理が起きてくる。しかし、文革が終焉し、1979年の「北京の春」があったが、「文革の前に戻ろう」といった考えがあっても、民主主義の構想はなかった。中国の未来は民主化は困難であるが、権威主義体制の維持は次第に難しくなるのでないかと述べられました。

パソコンのパワーポイントを使って講演する高橋伸夫慶応大学教授