7月7日、札幌のかでる2・7、820研修室で「第32回7・7平和集会」が開催されました。
盧溝橋事件から80年の節目の年である今年の7・7平和集会は、「アジアから今、問われているあの戦争」という全体テーマのもと、内海愛子さん(恵泉女学院大学名誉教授)が「戦後史の中の『和解』 置き去りにされた植民地支配の精算」と題して講演されました。
さらに、元朝日新聞記者・元北星学園大学非常勤講師、現韓国カトリック大学客員教授で、名誉棄損裁判を東京と札幌で提訴中の植村隆さんが、韓国の活き活きとした現在をジャーナリストの視点で捉えた特別報告をされました。
内海さんの講演では、戦後日本政府が「戸籍」と「国籍」を恣意的に運用し、植民地出身者を日本国憲法の権利や保護の対象外とし、さらには軍人軍属やその遺族を対象とする「戦傷病者戦没者遺族等援護法」や「恩給法」からも外す過程をわかりやすく紹介されました。途中、朝鮮人傷痍軍人の差別的待遇の不条理をえぐり出す大島渚監督の「忘れられた皇軍」(1963年)を上演し、講演にインパクトを与えました。
今年の7・7平和集会は、1931年から始まる十五年戦争を、植民地支配や41年からのアジア太平洋戦争との一環として捉える視座から、ともすれば多くの日本人の戦争認識から抜け落ちがちな東南アジアと、そこで使役された植民地出身者への差別的処遇を対象に、そこから植民地支配や戦争、近代天皇制の問題を炙り出しました。
当日は218人の参加を得て超満員となりましたが(うち学生12人)、多くの人にとって深い学びの機会となったのでないでしょうか。
本庄十喜(北海道教育大学)さんに記事をお願いしました。