2021年3月12日金曜日

【席占明さん❘  よくも、この時、こんな人が】

 【席占明さん よくも、この時、こんな人が】

    劉連仁さんの思い出(2)

            日中友好協会北海道連 会長 鴫谷節夫

 奇蹟を起こしたのは、勿論山東農民である劉さん自身の体力、気力、生活力ですが、救出に関わった袴田さん、木屋路さんなどの行動も奇蹟的です。一歩間違えば、劉さんの命は無かったかも知れないと私は思っています。

 札幌華僑総会の席占明さんは、よくこんな人が、この時、この札幌に居たものだと驚嘆します。席さんが東京華僑総会に送った膨大な通信を見ると、もし席さんが居なかったら劉さんの事件はウヤムヤになってしまったのでないかと感じます。帰国後三十八年目に日本で裁判を起こし、人類史に残る判決を勝ち取ることもなかったでしょう。

 劉連仁さんのことを中国で詳しく最初に報せたのは上海「新民晩報」で、その記事を書いた欧陽文彬(オウヤンウェンビン)さんに詳細な資料を提供したのは席さんでした。日本では、劉さんの生還の翌年1959年2月に早くも「穴にかくれて十四年 中国人俘虜劉連仁の記録」(1959年2月20日初版発行新読書社定価220円)として出版され、劉さんの奇蹟を一気に日本中に広めました。 実は私はこの本の存在を知らなかったのですが「知っていますか」を出版した時、題字をお願いした田嶋光子さん(北海道母親大会連絡会実行委員長)からプレゼントされました。この貴重な資料が手に入ったのも奇蹟だと思います。