2021年11月2日火曜日

札幌でも大歓迎  来日した中国赤十字代表団 劉連仁さんの思い出(10)

  札幌でも大歓迎
 来日した中国赤十字代表団
      劉連仁さんの思い出(10)
           日中友好協会北海道連 会長 鴫谷節夫
 

 

日本共産党中央機関紙「アカハタ」1957年12月3日号1面には、「日本軍国主義への告発 中国人殉難の概要 慰霊実行委員会発表」という記事が踊っています。
 これは劉連仁さんが発見される2か月あまり前で、私は卒論に悩んでいた時期であり当時から「アカハタ」は熱心に読んでいたのですがまったく記憶にないのが残念です。記事のはじまりは次のとおりです。

 李徳全女史ら中国赤十字代表団は来る五日来日するが、これに先立ち中国人俘虜殉難者慰霊実行委員会(会長・大谷瑩潤氏)では、これまでの中国人遺骨送還事業の経過をまとめた報告書をつくった。同報告書はその中で「戦時中、日本の労働力不足を補うため、中国人を日本国内に連行し、強制労働をさせたが、そのうち六千人以上が殺された」事実をあげ、十数名の証言とともにのせ、ヒトラーのナチスと肩を並べた日本軍国主義の残虐行為を激しく非難している。・・・・・」

 李徳全女史一行は東京の諸行事をおえたあと、八日北海道を訪問しています。
 「アカハタ」は十二月九日の記事では、「沿道を舞う紙吹雪 札幌歓迎大会に一万数千人」と見出しを付け次のとおり紹介しています。

 李徳全会長をはじめとする訪日中国赤十字社代表団は八日朝十時高岡北海道知事代理、荒北海道議会議長ら三百名の出むかえる千歳空港におりたち、ただちに千歳町民歓迎大会にのぞんだあと五星紅旗、日の丸、赤十字社旗の歓迎の波の中を札幌市内テレビ塔下でひらかれた札幌市民歓迎大会にのぞみ午後は同市東本願寺で営まれた中国人殉難慰霊祭に出席した。
この日雪もようの札幌市では一万数千の札幌市民が一行を出むかえて歓迎大会に参加、空につぎつぎと花火がうちあげられ、千歳町から市の入口豊平橋にさしかかるころの李徳全さんの自動車は沿道をうずめつくした市民から投げられる紙吹雪と五色のテープでうずまった。李徳全さんは全市あげての歓迎にたいし「アリガト」「アリガト」をくりかえし「中国の日本人民との友好の方針は今後永久に変わらないでしょう。平和共存と友好親善のため皆さんと一しょにすすみましょう」とあいさつした。

 当時のこのような大歓迎は何に起因するのでしょうか。知らぬこととは言いながらつい十年あまり前、自分が生活するこの北海道という身近な場所で、三千名を越える中国人が強制労働により虐殺された事実に深刻な衝撃を受けた道民感情の裏返しではないのか、私にはそう思えるのですが。
                                  (つづく)