2020年9月4日金曜日

日中友好協会創立70周年によせて   寺本千名夫  (北海道高等教育研究所理事・ 元専修大学北海道短期大学学長 )

 日中友好協会創立70周年によせて

                 寺本千名夫

            (北海道高等教育研究所理事・ 元専修大学北海道短期大学学長 )


  日中友好協会創立70周年おめでとうございます。しかし、気持ちは少し重いです。先日、先輩に「最近、会員であることが辛い」と言われたことが原因です。先輩曰く「核戦略、南シナ海、尖閣諸島での行動、香港への対応等、最近の中国政府が進めている諸政策に、違和感がある」と。こんな時、友好運動はどうあるべきか悩みます。性急な反発・批判は事態を悪化させるだけ。相手の政策背景を充分分析した上で、こちらの見解も伝えるというかなり高度な対応が必要です。日本の問題を取り扱う場合でも同様だと思います。

 その意味で『日中友好新聞』(7月25日付)掲載の武内秀尚「尖閣を考える」は明解でした。一方には中国海警局公船の領海侵犯を利用し、南西諸島の軍事要塞化を企図する勢力(政府・自・公石垣市政の地名変更【尖閣使用】、市有地の自衛隊駐屯地への売却)。他方には、自衛隊ミサイル基地配備を問う「住民投票」の実施を求める著名(有権者の4割余)を持ち、「平和的交渉」で解決を目標とする市民団体・民主勢力・野党の存在。

 中国でも似た構造があります。私は中国で一緒に研究を励んだ皆さん、留学生の件で交流した教員の皆さんから、先輩が嘆くような政策に関する議論を聞いたことがありません。政府の政策と一般市民の意識にはかなりずれも存在します。その点の解明が重要です。 故に日中友好協会は、政府機関が関わる友好交流だけでなく、平和五原則に基づき奮闘中の市民の友好交流活動に今後も積極的に取り組む必要があります。協会はもっと厳しい状況を乗り越えてきた歴史を持ちます。先輩にも粘り強く活動を訴えようと思います。