2016年7月15日金曜日

 ~日中戦争の戦端、盧溝橋事件   (1937年7月7日)から79年~ 第31回7・7平和集会  「日本軍『慰安婦』問題とどう向き合うか」

 7月7日、かでる2・7研修室で、昨年の「戦後70年、いま植民地支配・侵略戦争と向き合う」のパートⅡとして開催し、「日本軍『慰安婦』問題とどう向き合うか」と題して、加藤圭木一橋大学大学院社会学研究科専任講師の講演が行われ、170人を超える方が参加しました。
 講演に先立って、今橋直弁護士が「北海道教育大学の本庄十喜さんに労をとってもらい加藤圭木先生から講演をいただくことになりました。先生は1983年生まれで、韓国留学もされ、朝鮮史の植民地支配が中心で、植民地の生活者の歴史研究をやってきた方です」と講師紹介を兼ねて開会挨拶しました。
 加藤氏は、「教員として今年4月から本格的にゼミを始めた。学生たちの声を紹介し、韓流が好きでも、日本軍『慰安婦」問題の真実を知るのが難しい時代になってきている。慰安婦問題はなかったというネット投稿が溢れる深刻な状況にある。どう変えていくかが重要になっている。研究と教育そして日本軍「慰安婦」制度を研究している吉見義明さんの裁判支援組織の事務局長を務めている」と話されました。
 講演で、日本軍「慰安婦」制度は1932年の第一次上海事変から日本の敗戦までに、日本国家・軍隊が主体となって「慰安所」を創設・維持・管理・運営し、女性たちを性奴隷としたものです。「慰安所」は軍の施設(陸達第48号「野戦酒保規定改正)「野戦酒保ニ於イテハ前項ノ必要ナル慰安施設ヲナスコトヲ得」(京都大学永井和教授の発見)を紹介し、当時の国内法・国際法に違反する制度でありました。
 この問題は国家間の外交問題でない。被害女性の人権問題だ。責任を明確に認め謝罪し、その証として賠償すること。歴史教育で後世まで事実を伝え、再発防止を図ることが大事だ。
  日韓合意は何が問題か
 被害者を頭越しにした合意で、国家と被害者は異なる。あいまいな事実認定(軍の関与)。賠償を認めず。性奴隷制度であることを否認。真相究明措置や再発防止(歴史教育を含む)しない、触れない。これを改め、「合意」を白紙撤回し、被害者の声に真摯に向き合う必要性があります。
     日本社会の世論
 安倍談話を評価するが、評価しないを上回り、戦争に関わりのない世代に『謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないという主張には「共感する」が63%、「共感しない」が39%(朝日新聞)などであります。
 日韓合意を評価する63%、評価しない19%など(朝日新聞)などを紹介しました。
 また、加藤氏は、日本軍「慰安婦」制度はなぜ性奴隷制度といえるか、いまこの問題では研究が急速に進んでいる。「居住の自由」「外出の自由」「廃業の自由」「性の相手をすることを拒否する自由」の「4つの自由」が剥奪されている。
奴隷制の要諦は人の支配であり、支配とは「人の自由または自律性を重大なやり方で剥奪することであり、「慰安婦」制度が存在した当時の基準である奴隷条約(1926年)に基づいて、「慰安婦」制度は奴隷制度と認定できます、と述べました。
 加藤氏は,おわりに、大学院ゼミの光景から、今年6月の学部ゼミの韓国合宿で「平和の碑」(少女像)を守る韓国の学生たちの実践との出会いや戦争と女性の人権博物館における展示と実践に学び、あたりまえのことをあたりまえに語れる場をつくる学びの共同性を述べて講演を終了しました。
 北海道教育大の本庄十喜先生の司会で質疑が行われ、北大法学部大学院の吉田邦彦教授などが質問。また、質疑の中で、植村裁判支援の会の方から植村隆さんも参加していることが紹介されました。
 集会声明を採択して終了しました。

      池田賢太弁護士が特別報告
 
 参議院選挙投票日を目前にして、「安保法制の今、そして、これから?」と題して、第1に安保法制は違憲立法の強行で、強行採決に次ぐ強行採決を行った。第2に、これから想定される動きとして、すでに発動されているので選挙が終わって今週の第11次派遣隊(東北方面隊)から駆けつけ警護も行われるのでは?
第3に憲法改正の動きと緊急事態条項について、改憲勢力に3分の2を取らせないようにしなければならない。最初のターゲットは、緊急事態条項で、法律と同じ効力を持つ政令を認めることになり、人権が侵害される。安保法制が違憲の可能性があるなら、緊急事態条項で押し切るつもりだ。ナチスの手口に学べ(麻生発言)。ヒットラーは国会に放火して共産党がやったと宣伝し取り締まりを行い、全権委任法を強行、わずか1か月で独裁政権を誕生させた、と報告を行いました。

主催者挨拶をする今橋直弁護士

                                          講演する加藤圭木講師

特別報告を行う北海道合同法律事務所の池田賢太弁護士