2022年5月24日火曜日

 真珠湾攻撃から 東京大空襲・広島・長崎へ

  真珠湾攻撃から

   東京大空襲・広島・長崎へ

          ❘敵基地攻撃能力保有の末路❘(中)

              日中友好協会道連会長 鴫谷 節夫


 「日本海軍の敵基地攻撃能力とはどんなものか」

 真珠湾を攻撃した「大日本海軍最精鋭の機動部隊」は「赤城・加賀・蒼竜・飛

竜・翔鶴・瑞鶴という六隻の航空母艦を中心に、比叡・霧島の戦艦、利根・筑摩の重巡洋艦、九軍神で有名な特殊潜航艇をつみこんだ五隻の伊号潜水艦など三一隻の編成であった。

 真珠湾内の米戦艦群と軍事施設を直接攻撃した第一次攻撃隊は一八三機第二次攻撃隊は一六七機で、いずれも零式艦上戦闘機(零戦)に援護された九七式艦上爆撃機からなるものであった。

 日本の最後通牒が米側にとどけられたのは日本の攻撃が始まってから一時間もあとで、全くの「だまし打ち」、防戦のしようもなく大きな被害をうけた。撃沈戦艦四隻、撃破戦艦四隻巡洋艦三隻、破壊された飛行機二三一機、死傷者は軍人三六八一名、民間人一〇三名にのぼった。

 「支那事変戦記 海軍航空戦 海軍中佐 阿部信夫編著 昭和十四年六月二十八日発行 大日本雄弁会講談社」

 この本のはじめの方に自序がある。

 

 本書は我が海の荒鷲に捧ぐる感謝感激の記念帖である。同時に又、世界大戦乱の前夜を思わしむ現下の危局に際し、我が一億同胞に向かって打鳴らす航空国防強化の警鐘でもある。

 さきに「海の荒鷲奮戦記を普く江湖に贈ったのは、まだ事変も初期、昭和十二年の暮れ、敵の首都南京が陥落したばかりの時であった。爾来、聖戦ここに満二ヶ年になんなんとし、今や硝煙支那大陸を掩い、海鷲四百余州をその鵬翼下に収るに至ったわけである。

 かくて前書も亦ここに其の面目を全く一新して再び読者と相見ゆるに至った。


 こうして出版されたこの本は337頁の大部なもので、付録の「海の荒鷲空爆撃墜一覧表」も昭和十二年八月十四日から十四年五月三十一日までの出撃の詳細な記録が二十三頁にわたってまとめられている。

 日本全土の基地から出撃する「渡洋爆撃」も上海・南京はもとより昆明、成都、重慶、蘭州まで空爆しているのである。日本海軍航空隊はこの実戦を通して真珠湾基地攻撃能力を保有した。このためどれほど多くの国税が費やされたことか。どれほど多くの中国人の生命・財産がうばわれたことか。

          (つづく)