2018年5月22日火曜日

「STОP!改憲 憲法九条未来を開く」九条の会事務局長小森陽一教授の講演

4月14日(土)札幌エルプラザにおいて、戦争法反対北区民の会主催による「STОP!改憲 憲法九条未来を開く」と題して憲法講演会を開きました。講師は、東京大学教授・全国九条の会事務局長の小森陽一さん(専門は日本近代文学)。講演内容を掻い摘んで報告します。 
【冒頭発言】
 小森先生は、安倍政権が追随するアメリカのトランプ政権が、イギリス・フランスとともにシリアへの空爆に踏み切り、多くの犠牲者を出しています。こうしたことを止めさせることが出来るかどうかというのがこの集会の意義です。と切り出しました。
 そして、森友・加計の文書改ざん問題に触れ、国の主権者である国民が、国政を握る権力に縛りをかけるのが公文書です。それを改ざんし情報を捻じ曲げ、ねつ造するということは明らかに憲法違反の暴挙です。
【何故3000万署名なのか】
 私たちが最も重視しなければならないのは、この改憲発議をさせないために「安倍九条改憲NО!3000万署名」をどれだけ成功させるかということです。前回の総選挙で明確な護憲勢力は、立憲民主党と共産党そして社民党。投票総数5700万票のうち1700万票でした。したがって本当に勝つためには5700万人の過半数を超えることが不可欠ということで3000万署名が目標になりました。
 同時にこの署名に関して様々な形で弾圧がかけられ始めています。例えば東京では条例を改悪してこうした政治活動に警察が取り締まりを強化するということになりつつあります。そういった意味でもこの取り組みは正念場になっています。
【九条改憲の最大の問題点】
 戦争放棄を定めた1項と、戦力不保持を定めた2項を維持しながら、九条の2を新設し「前条の規定は・・・自衛の措置を妨げず、そのための実力組織として・・・自衛隊を保持する」、このわざわざ「自衛のための措置」という文言を挿入することで、戦争法ですら認めなかった集団的自衛権の全面的な行使にまで道を開こうとしているのです。
 さらに「緊急事態条項」に関する危険性です。「大地震その他の異常な災害」の際、国会議員の任期延長に加え内閣による政令制定権を規定しています。つまり戦時下の政府権限の拡大と、人権の制限をできるようにするということです。
【何故、安倍政権は改めて憲法九条2項に自衛隊を明記することと、自衛隊の条項を加えるいわゆる加憲の方向で議論を進めているのか】
 自民党が憲法を変えると言い出したのは、2005年の小泉政権の時でした。九条の会が結成されたのもこの時でした。当初は九条2項を変えるというものでした。
 2017年5月安倍首相は改憲団体である日本会議の全国大会に、ビデオメッセージで「9条1項、2項はそのままで、9条に3項を付け加えて自衛隊をきちんと認めてあげます」と言っていたにもかかわらず、12月20日の自民党憲法改正推進本部のまとめで、もう一つの方向性「9条2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確にする」という両論併記がなされました。
 実は9条3項の加憲というのは、公明党の一貫した主張で自民党がパクったのです。平和の党を標榜していた公明党の主張が仇となって議席を減らしました。言い換えればスケープゴートにされた形になったのです。一方選挙で勝った自民党はかつて言っていた9条2項を一部変更し、むし返して並記しました。両論併記にしたのは公明党を立てるための配慮だったのです。
 東京都議選の分裂や、自民党の不正や不祥事による凋落で両党に温度差が出ています。
 「3000万署名は創価学会だからと言って避けないで、どんどんお願いしましょう」と講演を締めくくりました。
            開会あいさつする今橋直弁護士

                 小森陽一教授