2022年11月1日火曜日

第37回 7・7平和集会を開催

    第37回 7・7平和集会を開催


 7月7日(日)北海道自治労会館において、第37回7・7平和集会が開催されました。日中友好協会札幌支部はじめ宗教団体や平和教育者など30団体で実行委員会をつくり開催、124人が参加しました。

 コロナ禍によって3年ぶりの開催でしたが、ロシアのウクライナ侵略と、それに乗じて憲法を改正して軍備を増強し、さらには核兵器を共有すべきとの声まで上がるさなか、「平和外交か、それとも戦争できる国か」を問う極めて重要な参院選真っ只中での開催でした。

 講演は室蘭工業大学大学院の清末愛砂教授による「ロシアによるウクライナ侵攻・日本国憲法は無力なのか」と題して、約1時間半にわたっての講演でした。(以下、講演内容の一部を紹介します)

 憲法12条について

 「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」、公務員は憲法を順守しなければならないし、公権力を縛るものです。さらに立憲主義には、公平な分配をなすという意味も込められています。

 「防衛」「自衛」の

    名のもとに

 ロシアは「防衛」のためと「ファシズム」との闘いを主張していますが、いつの場合も侵略するぞと言って侵略はしないものです。したがって、最近の日本も「防衛」とか「自衛」のための論理がいかに危ういものかの表われです。

 またロシアは、甚大な被害(無差別爆撃・家屋インフラ破壊・性暴力・拷問)を侵しています。それは多くの国際法(国連憲章、ジュネーブ諸条約・国際刑事裁判所・ローマ規定・・)等に違反しているのです。

 「軍事同盟」の怖さ

 ひとつは攻撃の理由として利用される事。二つ目に外交上強い緊張感をもたらす事。そして例えば「台湾有事」や「南西諸島での自衛隊配備を正当化させる可能性」があります。

 9条が支えてきた

  現実的な効果とは

 さて昨今、ウクライナ情勢に便乗して「国民を守るための改憲が必要」という主張が跋扈していますが、他国の主権を犯して軍事侵略することを認めない事にあります。9条を知らないで改憲を言うのはおかしなことです。

 では、9条が支えてきた現実的な効果とは、何だったでしょう。一つには、9条への存在軽視が悪化しているとは言え、日常での平和戦争へのかかわりを出来るだけ避けてきたこと。不完全でも民主主義・文民統制がなされてきたこと。防衛費を抑え込んできたことで医療費や社会保障、教育に予算をまわすことができたこと(公正な分配とは言えないが)。特に大事なことは、平和的生存権とともに外交上(ビジネスの上でも)信頼関係を醸成できたことです。

 今、非常に危険な

  状況に来ています

 今回の参議院選挙以後の三年間、衆議院の解散が無い限り、国政選挙はありません。その間に改憲の動きが一気に進むことは確実です。

 特に、自民党より改憲に意欲を燃やす維新が、筆頭野党になれば、憲法審査会が頻繁に開催され、与野党合議と数の論理で一気に改憲に進む可能性があります。

 自民党の改憲イメージと

  維新、公明党の動き

 自民党の改憲のたたき台素案は、自衛隊の憲法明記と緊急事態条項、そして教育環境の整備と参院合区解消問題の4項目ですが、焦点は最初の2項目にあり、特に緊急事態条項です。つまり「国及び国民の安全を保つために必要な自衛の処置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣に最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」。維新は緊急事態条項の導入、自衛隊の明記を主張し、公明党は「慎重」から「検討」に舵をきりました。

 あの吉田茂元総理の答弁

 1946年帝国議会衆議院本会議において、共産党の野坂参三の質問に対して、このように答弁してしています。

 「戦争放棄に関する本案の規定は、直接に自衛権を否定して居りませぬが、第九条第二項に於いて一切の軍備と交戦権を認めない結果自衛権の発動としての戦争も、又交戦権も放棄したものであります。満州事変然り、大東亜戦争亦然り(中略)

 我が国において如何なる名義を以てしても交戦権は先ず第一、自ら進んで放棄する、放棄することによって全世界の平和の確立に貢献する決意を、先ずこの憲法に於いて表明したいと思うものであります」

 講演はまだ続きますが紙面の関係で割愛します。

 なお、司会進行は北海道教育大学札幌校の本庄十喜准教授(日中友好協会会員)が務められました。清末教授も会員です。